2013年7月13日土曜日

アリストテレスの教育論


アリストテレスの教育論の概要を勉強していて興味深いと思ったことをいくつか。アリストテレスが生きていた当時のアテナイでは、読み書き、体育、音楽、図画の4科目が子供達に教えられていたそうです。4科目のうち、音楽以外の科目はみな実用的な側面を持っており、教える側もその必要性に対して疑念を差し挟まなかったようです。しかし、音楽はたいした実用性も無く、たんなる楽しみのために存在する・・・。これにはそれなりの議論があったみたいですね。ちなみにこの当時の音楽とは詩の朗読だったりするので、今で言う文学と言い換えてもいいかもしれませんね。

音楽の実用性が問われる中、アリスト君は「閑暇と仕事」という区分を導入し、音楽教育の意義を説明したみたいですね。閑暇とは、単なる暇な時間や疲れを癒す休息の時間ではありません。アリスト君は閑暇を人間が学問や芸術に専念し、幸福を実現するための自由で満ち足りた時間と定義していたようです。要はアリスト君にとっては閑暇>仕事であって、仕事は充実した閑暇を過ごすための手段という位置づけだったわけですね。ちなみに、アリスト君が考える政治の目的は「国民を幸福にする」ことにあったので、閑暇の過ごし方を教えることは一種の政治学マターだったようです。ですから、ことのほか先にあげた4科目のうち、音楽はアリスト君的な教育観のもとでは、ことさら重要視されたようです。この視点は今の我々にも大事な示唆を与えてくれますね。仕事の合間の余暇ではなく、充実した人生を過ごすための閑暇。これを獲得する手段としての仕事。現代社会をせっせと働いて過ごす我々には大事な示唆を与えてくれているような気がします。

アリスト君について調べていて面白いのが、プラトンが作ったアカデメイアに20年近く滞在し、そこで「読書家」というあだ名を付けられていたこと。ここでいう読書家とは、アカデメイアに保管されている蔵書を朗読する役割をアリスト君が担っていたことからついたあだ名のようです。当時の最先端の情報がアカデメイアに集められ、そこでアリスト君は色んな人たちの本を読んで聞かせていたのでしょう。当時は黙読というものがありませんでしたからね。一番効率のよい学びというのは人に教えることだとよく言われます。そういう意味では、アリスト君はいつも人に書物を読んで聞かせながら自分が一番勉強していたのでしょう。この読書家(=朗読家)としての20年が、知の巨人としてのアリスト君を形成していたのかもしれませんね。

0 件のコメント: