2013年7月13日土曜日

エロスの現象学/竹田青嗣

僕は大学に入ってから、近代科学的な認識論というものにあまり意味を見いだせず、たいした興味をもつことができませんでした。認識論の問いの基本モチーフは「世界はなんであるか?」と言えるでしょう。僕にとっては、「世界とはかくかくしかじかである!」という言説に対しては「で、なんなの?」という不満しか出てこなかったからです。この認識論は哲学から離陸し、いわゆる近代科学に飛翔して、世の中を大きく変えていくわけだけど、僕にとって一貫して問題だったのは「世界は人間にとってどういう意味や価値を持つか?」という問いでした。認識ではなくて、価値評価の方が重要だ、というスタンスですね。そういうスタンスを明確に言い切ったのが近代の哲学者だとニーチェですね。だから、僕は大学時代にニーチェにハマった。そして、その流れで竹田さんの考え方に大きく惹かれました。ニーチェは、世界とは力によって解釈された秩序である、といいました。しかし、竹田さんはニーチェのいう力という概念を、エロス=欲望という概念に置き換え、世界とはエロス的に経験された秩序である、と言い換える。その竹田的エロス(=欲望)論の骨子が余すところ無く述べられているのが、本書です。人はなぜ美しいものに惹かれるのか、人はどうやって世の中に価値を見いだしていくのか。私はビジネスパーソンでもありますが、価値評価というキーワードは単に哲学に留まらずビジネスの世界にも拡張可能ではないかという直観を持っています。そういう意味で、僕のなかの思考の土台となった1冊です。



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