2012年10月3日水曜日

トヨタ生産方式/大野耐一

この本は、たしか2010年の始めに読んで読書感想を書きました。
ですので、今回のエントリーは2度目のエントリーとなります。

しかし、最初のエントリーはBloggerとは違うブログサービスを利用して書いたため、
本ブログには残っていません。さらには、前に使っていたブログサービスは
使い勝手がいけてないため、頭に来てアカウントごと削除しちゃいました(爆)。
ゆえにインターネットのどこを探しても残っていません。

ですので、気を新たに初読のつもりで本書を読み直し、
感じるところを思うままに綴ってみたいと思います。


まず、本書の著者である大野耐一さんとはだれか?
誰もが知っているトヨタ自動車(当時はトヨタ自動車工業)の元・副社長であり、
世界的にかんばん方式で有名なトヨタ生産方式を作り上げた人物です。


その大野さんが自らトヨタ生産方式を作った背景や
その方式のベースとなる思想を語ったのが本書と言うわけです。


僕がこの本を読んだきっかけは、以前つとめていた会社で行われていた
全社改善活動の担当者に選ばれたことでした。
トヨタTPSの考え方を参考に、自社業務を色々と改善していきましょう
という方針のもとでの活動でしたが、当時の僕はどーにもこーにも
改善という言葉があまり好きではなかったのです。

やれ、ムダ取りだ、整理整頓だ、5Sだ、と改善というと身の回りの
非効率的な作業を改めていくという方法ベースの活動に見え、
どーにもこーにもやる気が出ず、改善活動自体がムダじゃね?
というあり様でした。

しかし、改善活動の担当にも選ばれたことですし、
一度ここで改善活動というコトの本質を考えたいと思うようになりました。
であれば、世界的にも「Kaizen」で通じるトヨタ生産方式の生みの親の
本でも読んでみるか、ということで本書を手に取ったと言うわけです。
※1:因に、Kaizenと英語で言っても通じますが、
英語では「Continuous Improvement」と言うようですね。
一緒に仕事をしたフィリピン人が教えてくれました。

※2:本書はAmazonで購入しましたが、購入した翌月に会社から
プレゼントされました。同じ本2冊持っててもしょうがないので、
片方はBookOffに売っちゃいましたが(苦笑)。


手に取って読んでみて、めちゃくちゃ目から鱗がおちました。
そして、改善という言葉に対する印象が180度かわりました。

今回は、その辺を中心に本書のエッセンスを振り返ってみたいと思います。


まずは、本書の構成から。

◆目次

まえがき
本書に寄せて
第1章 ニーズからの出発
第2章 トヨタ生産方式の展開
第3章 トヨタ生産方式の系譜
第4章 フォード・システムの真意
第5章 低成長時代を生き抜く
付録
あとがき

本書は231ページで構成されています。
2、3時間もあれば読めちゃうボリュームですね。




231ページのなかに色々と感心することが記載されているのですが、
僕なりにエッセンスだと思うところを箇条書きでピックアップしてみます。


・トヨタ生産方式なるものは、戦後の日本の自動車工業が背負った宿命、
すなわち多種少量生産という市場の制約の中から生まれてきた。

・当時、欧米では自動車工業の大量生産方式が確立されており、
まともに勝負したのでは日本の自動車産業が成り立たないという危機感があった。

・敗戦後すぐ、当時の社長である豊田喜一郎が「3年でアメリカに追いつけ。
そうでないと日本の自動車産業は成り立たんぞ」と大野に明確な指示を出している。

・豊田喜一郎は豊田英二に「自動車事業のような総合工業では、自動車の組み立て作業にとって」各部品がジャストインタイムにラインの側に集まるのが一番よい、と言ったが、これがトヨタという企業の啓示となっている。


・アメリカを知り、アメリカに学んだ上で、日本の風土にあった
方法を作り出さないと勝てないことを肝に銘じていた。

・行き着いたのが多種少量生産でかつ原価を安くする方法の開発だった。

・日本の経済風土にあったオリジナルな方法を追求するという発想から、
他社や先進国が簡単に理解できない、さらにはイメージすらしづらい
「かんばん」や「ニンベンのある自働化」を実践し、強調してきた。

・トヨタ生産方式の基本思想はジャストインタイムと自働化を軸とした
徹底したムダの排除にある。

・脱常識を働かせ「後工程が前工程に必要なものを、必要な時に、
必要なだけ引き取りにいく」「前工程は引き取られた分だけ作ればよい」
という発想で生産方式を作った。

・生産工程をつなぐ手段としては、何をどれだけ欲しいのかをはっきりと
表示しておけばよい。そしてそれを「かんばん」と称して工程間を
回すことによって必要な生産量をコントロールするという発想に至った。

・生産効率の追求は原価低減が目的である。かかっただけの原価に
利潤を上乗せして値段を決定する原価主義の考え方は、
最終的なツケを消費者に回すようなもので、これはNG。

・トヨタの具体的な企業目標は豊田喜一郎の「3年でアメリカに追いつけ」である。
そして人間も企業も目標がハッキリしているからこそ行動が活発になる。

・トヨタ生産方式の基本思想および基本骨格は、いずれもはっきりとした
目的とニーズがあって具体化されてきた。今でもトヨタの現場の改善は
ニーズに基づいて行われている。ニーズの無いところで行われる改善は
思いつきや効果のない投資である。

・農耕民族的な発想でいつも手元に在庫を抱えておくというのはやめないといけない。
狩猟民族になって、必要なものを必要な時に必要なだけ調達する
勇気をもたなければならない。勇気と言うよりそれが現代工業社会の常識である。

・ムダの徹底排除には基本的な考えとして、原価低減に結びついて意味ありとする。
そのために、必要なものだけをいかに少ない人間で作り出すかを重要視する。
一人一人の作業者の能率だけでなく、ライン、工場全体として成果が上がるように
ものを見ていく。

・先が完全に読み切れない以上、状況が変わればやり方を変えるのは当然である。
また変化に対応できるよう現場の体質を作り上げていくこと、自分自身の頭を
柔軟に保つことこそがビジネスでは重要なのである。

・チームワークこそ全て

・大切なことは、余力を常日頃からハッキリさせておくことである。
余力があるかどうかが明確でないと、結局、判断を誤って原価を高めてしまう。

・企業経営はきわめて現実的でなければならない。
将来のビジョンを描くことも大切ではあるが、それはあくまでも
地についたものでなければならない。

・人間味のある環境を作ることによって、はじめて「少人化」も本物になる。

・作業の改善といっても、生産現場を熟知せずにはなにごともできない。
生産現場に終日立ち尽くして見よ。そうしたら何をしなければならないかが
自ずとわかる。

・豊田喜一郎は自らの知能をもって白人に大恥辱を雪がねばならぬと言っていた。
白人が公然と日本人に、日本人は現代文明に対して何を貢献してるんだ?と
馬鹿にしていたのがよほど頭に来ていたらしい。

・「標準」とは生産現場の人間が作り上げるべきものである。
けっして上からのお仕着せであってはならない。そうしないと進歩の為の
標準にはなり得ない。

・私は今の情報化時代に生きるには、表面を流れる情報の渦に巻きこまれることなく、とうとうと底を流れる情報の本質に迫ることが大事なのだと思う。



とまぁ、いろいろと僕が刺さったフレーズを
僕なりの言葉に少し編集してピックアップしてみました。


豊田喜一郎の戦争には負けたけど知能戦には負けてなるものか!!!
という執念とでも呼べるような志と「3年で追いつく」というシンプルな目標。
そして、少量多品種をジャストインタイムで!というアイディア。

すべてはこれらの目標を実現するために・・・。
改善の本質ってこんなところにあるんだろーなーと痛く感心した次第です。

さらに、ピックアップした言葉をよくよく噛み締めると、
ここには目標達成の為の「アジャイル」「自己組織化」「チームワーク」
「脱常識の発想」など今のビジネスシーンでもトピックとして
注目されているものがすでに現出していることに驚かされます。

時は1978年3月。僕が産まれる1ヶ月前に、この本は上梓されています。
今は亡き大野さんに、時間を越えた敬意を払いたいと思う。


おまけ
Amazonの書評をみるとこの本を称して「経営について書かれてない」「大野は経営者としてアマチュアだ」とある。アホか?この本はトヨタ生産方式を正しく理解し、運営していって欲しいから書いたと「はじめに」断られている。
僕たちがこの本から学ぶべきは、独特の生産方式を成立させている
想いや思想なのである。あとは各々が自分の職場で自分なりの想いを醸成し、
オリジナルな方法や生産方式を成立させるべきなのだ。



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