2012年5月20日日曜日

CATS観劇


つい先日、哀しいお知らせが・・・。
ミュージカル『CATS』が今年の11月11日をもって横浜から去ってしまうことが決まりました。いずれは来るであろうその日が決まると、なんとも寂しい感じがしますね。

ということで、あと6ヶ月少々、時間とお金の許す限り、『CATS』を観て、色々なことを考えようと思います。・・・ということで、まずは本日、1ヶ月半ぶりに観てまいりました、キャッツ。


久しぶりに観た(とは言っても間、1ヶ月半しか空いてませんけど・・・)『CATS』ですが、今日はいろいろと考えさせられることの多かった舞台となりました。

まず、本日の出演者です。

グリザベラ:早水小夜子
ジェリーロラム=グリドルボーン:朴 慶弥
ジェニエニドッツ:鈴木釉佳之
ランペルティーザ:山中由貴(○)
ディミータ:増本 藍
ボンバルリーナ:相原 萌(○)
シラバブ:江部麻由子
タントミール:原田真由子
ジェミマ:齋藤 舞(○)
ヴィクトリア:馬場美根子(○)
カッサンドラ:藤岡あや(○)
オールドデュトロノミー:米田 優
アスパラガス=グロールタイガー/バストファージョーンズ:橋元聖地
マンカストラップ:萩原隆匡
ラム・タム・タガー:荒川 務
ミストフェリーズ:岩崎晋也
マンゴジェリー:田中宣宗(○)
スキンブルシャンクス:劉 昌明
コリコパット:新庄真一
ランパスキャット:永野亮比己
カーバケッティ:齊藤太一
ギルバート:安江洋介
マキャヴィティ:安芸雅史
ンブルブルータス:松永隆志


2011年4月から本格的に『CATS』を鑑賞し始めて、約1年で鑑賞回数は40回を越えましたが、これまでは全ての回に”武藤寛”の名前がありました。僕にとっての武藤さんは連日休みなくパーフェクトなマンカストラップを演じ続ける鉄人でした。
※途中1回だけ、急遽マンゴジェリーとして出演していましたけど。

その武藤さんの名前がキャストから初めてなくなっていました。
これは正直、寂しかったですね〜。でも仕方ないですね・・・。
ここ1年、休み無しで演じ続けられていたので、少しゆっくりして頂き、また素敵な勇士を見せて頂きたいと思います。

その他、出演者のうち上記で(○)を付けた人が初めて見る方でした。
マンカストラップ役の荻原さんも2回目で、最近『CATS』にアサインされましたね。


『CATS』、キャストの半分くらいが新しい方になっているようです。
※中には、私が知らないだけで、昔から演じてた人が『CATS』の舞台に
戻ってきただけかもしれませんが。

でも、僕には『CATS』のキャストが次ぎのフェーズに向けて入れ替わってきているように感じました。次なる地で、新たな『CATS』を始めるべく新旧交代、もしくはベテランと若手を混ぜ合わせて後進育成を始めたのかのよう・・・。

舞台進行も、『CATS』の基本に忠実なスタンダード、ある意味原点回帰のような印象を受けた舞台でした。あくまで僕の印象ってだけですけどね。

しかし、この原点回帰したかのような舞台だからこそ『CATS』の魅力をこれまでとは違った意味で感じることができました。

これまでクドイほど書いてきた『CATS』の魅力ですが、改めて振り返ってみると僕には以下の5つになります。

1.音楽/歌
2.ダンス
3.照明
4.舞台と客席の一体感
5.創発される物語解釈


上記1は言うまでもなく、アンドリュー・ロイド・ウェバーが作った耳に残る、心躍る、心地よい珠玉の名曲の数々です。そして、それを歌う役者さんの声も魅力ですね。

2のダンスも言わずもがな。ジェニエニドッツとゴキブリ達のタップダンス、スキンブルシャンクスと仲間達で踊る愉快なダンス、ディミータとボンバルリーナが魅せるミステリアスなデュエットダンス、ミストフェリーズが魅せるマジカルダンスなどなど『CATS』は魅力的なダンスで溢れています。

そして3の照明。これも効果的に使われていますよね。
僕はオールドデュトロノミーが夜空を満点の星空に変えるときの照明や、グリザベラが天上に昇るときの照明が特に効果的だなーといつも感心します。

4についても誰も異論はないでしょう。他の舞台と違い、猫が頻繁に客席に降りてきますし、カーテンコール時には猫が観客と握手してくれる・・・。これはほんと舞台と客席を一体にしてくれますよね。

そして最後の5。僕にとってはある意味でコレが『CATS』最大の魅力と言ってもイイくらい。劇団四季の他の素晴らしい作品を差し置いて、ブッチギリのリピート鑑賞の原因がこの5番目の魅力なわけです。

他の作品ってそれなりにストーリーがハッキリしていて、作品のテーマや解釈が数回観れば大体決まってしまうのが普通です。しかし、僕にとって『CATS』という作品は、その他の優れた芸術作品がそうであるように、一つの解釈を受け付けない作品なんですね。
ある視点で解釈しようとすると、別な視点からは違う解釈ができる。同じ視点で解釈したとしても、より深くより広い解釈の可能性を残す・・・そんな作品なんですよね。
舞台を通してこちらが受け取るメッセージが、その日の舞台のキャスト、そしてキャスト達のコンディション、さらには観客の雰囲気、そして自分の感情や体調によって色々な印象を与えるメッセージ展開をしてくれる、まさにキャストと観客が創発して作っていくような物語解釈であるというのが僕にとっては凄く魅力的なんですね。

これはもともと『CATS』のストーリーがもの凄くメタフォリカルであるのが理由かもしれません。猫の視線から人間を観るという視線変更が行われていますし、登場する猫が24匹、それもみなそれぞれが主役のような位置づけですから、物語を解釈するときの固定的な視線を許さないような特徴もあります。

ちなみに、今日、僕の『CATS』に対するまなざしはマンカストラップとシラバブとグリザベラのトライアングルで物語を解釈しようとするまなざしでした。

シラバブの歌に導かれたグリザベラをマンカストラップが遮り、グリザベラが魂を振り絞り明日を掴むためのメモリーを歌う、こころ折れたグリザベラをシラバブが再度歌により導き、グリザベラが昨日との決別としてメモリーを歌う。大いなる心、誇り高く強い心、そして高貴なる悲しみをグリザベラにより見せられたマンカストラップは顔をあげていられなくなる。去ろうとするグリザベラを仲間達のもとに引き戻すシラバブ、そして天上へ昇れとオールドデュトロノミーのもとへ手を引くマンカストラップ・・・。大いなる心と高貴なる悲しみ、ジェリクルが唯一のその名を掴むための条件・・・それはなんなのか?

荻原マンカスのちょっとした、うつむく仕草が僕に今日はこんなメッセージが込められた物語をみせてくれました。


そして、次に観るときには今日観たメッセージはもう見ることが出来ない。次は次のメッセージが生まれる・・・それが『CATS』という不思議な舞台なのです。

あなたには一体どういうメッセージが届くのでしょうか?
これはあなたが自分の眼と心で観て聴いて受け取ってくるしかありません。


2012年5月6日日曜日

GW観劇 その5:アイーダ



ゴールデン・観劇・ウィークも今日でお終い。
連休最終日に観た作品は『アイーダ』でした。

この作品、知り合いの女性陣みんながお勧めする作品です。
そして、インターネット上を色々検索すると
この作品を見て阿久津さんのファンになったとか、
劇団四季のファンになったという声が後を絶ちません・・・。

『CATS』のオフステージトークでも俳優さん達が
『アイーダ』を観て号泣したと仰っていたので、作品に対する期待も高まります。

それほど絶対的な人気を誇る作品『アイーダ』ですが、
涙もろい僕には珍しく、全く涙ながすことなく作品を見終えることになりました。

作品自体はそれなりに素晴らしいものだと思うのですが、
幾つかの観点で僕はそれほど魅せられはしなかったんですね。
※ここから先はストーリーのネタバレ要素もあるので、これから見る人は
読まない方がいいかもしれないことをお断りしておきます。


1つ目。それは音楽です。
この舞台の音楽は、エルトン・ジョンが担当しているそうなのですが、
僕、個人的にエルトン・ジョンの作る曲って性に合わないんですね。

どれもいい曲だとは思うんですけど、エルトン・ジョンが作る曲って
どれもこれもどこかドラマチックすぎるんですよね、僕には。

ですので、阿久津さん演じるラダメスや秋さん演じるアイーダが
一生懸命歌ってくれて、上手だなーとは思うんですが、曲自体の
さびの部分がどうしてもエルトンチックなドラマチック性があって
心の底から素晴らしい!!!と感動しきれない自分がいるんです・・・。

でも、エルトン・ジョンに苦手意識がない人は凄く感動するんだろうな、
というくらい阿久津さんも秋さんも演技&歌が素晴らしかった。

特に秋さん!
ヌビア国の女王の風格があって、存在感たっぷりで素晴らしかった!!
歌も上手だし、僕、やっぱり秋さん大好き!


阿久津さんも素敵な役者さんですね。
阿久津さんの演技を見るのは、これが初めてですが、
世の阿久津ファンがなぜに阿久津さんにべた惚れするのかが
何となく分かりました。


一言で言えばイケメンで背が高くて髪型がカッコ良くて
化粧するとかなりセクシーで声がちょっと甘くて、
愛に生きる誠実な男だからなんでしょうね。


そりゃねぇ、誰だってあんないい男に
「たとえ100回生まれ変わっても、きっと探し出すよ」
って言われてみたいわよねぇ・・・。


僕から見ても色気ある、見栄えのする役者さんだなーと思います。
個人的には、将軍なんだからもっとムキムキの北斗の拳みたいな
身体を作って欲しいと思うところではありますが(笑)。


さて、2つ目。それがエンディングです。
ラダメスとアイーダは二人揃って生き埋めの刑を受け、
死んでしまうわけですが、このシーンそのものが僕には泣けないんですね。
台詞、シチュエーションともに大半の人は一番感動するところなのでしょう。
だって、愛し合う二人が想い半ばで死んでいくわけですから、
ある意味で悲劇ですよね。

でも、正直、僕にはこのシーンが悲劇には全然見えず、
どっちかというとハッピーエンドの部類なんじゃないかと思ってしまうわけです。

確かに、死んじゃいますけど、来世での巡り会いを誓い、現世での愛を誓い、
そして死んでいくわけですから・・・。おまけに、生まれ変わった二人は
エジプトの博物館でさりげなく再び出会っていますよね。

これがね、たとえば手塚治虫の『火の鳥 ヤマト編』のように、
敵同士が愛し合ってしまったがために、最後は土の中に埋められ、
声だけが聴こえる状態で絶命してくカタチであれば
泣かずにはいられないと思いますけど、そこまで悲惨ではない。

おそらく、こういうことが頭をよぎってたので、
それほど作品に引き込まれなかったんでしょうね。


では、この作品、全然面白くなかったかというと、
そういうわけでもありません。

照明、演出、そしてアムネリスという存在が一際僕の興味をそそりました。
照明、そして作品の演出がなんといっても
ポップス感全快って感じで面白かったです。
特にアムネリスのファッションショーのようなシーンは
見ていてもの凄く面白かった。
古代エジプトと現代を繋ぐようなファッションの数々が
次から次へと出てくる様は、ほんと今様って感じがしますね。
ダンスシーンの照明や音楽もR&Bって感じでしたし・・・。

この辺は見ていて、一際愉しかったところです。

そしてアムネリス!
今回アムネリスを演じられていたのは大和貴恵さんという方でしたが、
この方が演じるアムネリスが凄まじく素晴らしい!!

身長が180センチ近くありますから、ほんと遠くから見ても
モデルさんと同じくらい綺麗なプロポーションだということが分かります。
そして役者さんとして大事な歌と演技・・・。
これは初っ端のエジプト博物館のシーンから心掴まれました。

歌、上手い!そして、顔、綺麗!!!
そのプロモーションと歌唱力と演技力とルックスと綺麗なお肌・・・。
これぞまさしくナイルの宝石!!って感じの存在。
このアムネリス、ファッションが人生って感じで最初は登場しますが、
次第にその内面が開示され、実は女王を演じることに疲れたある意味で
囚われの姫君なのであります。その疲れや渇きを癒したく、愛しのラダメスに
一方的に愛を送り続ける姿勢こそがこの作品の最大の悲劇であり見所だと、
僕は勝手に思っています。

高慢ちきな自己中女王が見せる、人間としての弱さ、ひた向きな愛・・・。
ギャップLoverな僕としては、一発でアムネリスに恋しました(爆)。

ラダメスに同情できなかったのは、アムネリスの本心を見抜けず、
自分勝手にアイーダに走った罰だ、死んで詫びるべし!!と
心のどこかで思っていたからかもしれません(笑)。

アムネリス、ほんといいですよ〜。
ラストのラダメスとアイーダに死を宣告するシーンなんかも、
大和さん振り向き様に涙を飛ばされていたからね!!
僕はあのシーンで完全にアムネリスの虜になりました。

アムネリスは悟ったんだ。
ファラオは病に冒され時期に死ぬ。
そして、愛するラダメスは女王としての自分の判断故に死んでしまう。
結局、愛するものは自分の周りからは全て去ってしまい、
解き放たれたかった女王としての宿命だけが自分にのしかかるということを・・・。

いち女性として人生を謳歌したかったであろうアムネリス・・・。
しかし、王の娘として生まれたからには、この呪われし運命には従わねばならぬ。
愛するものに死をいい渡さねばならぬ運命を引き受ける変わりに、
愛するものには愛するものと一緒に死なせてあげよう・・・。
これがラダメスにかけられるアムネリスなりの精一杯の愛・・・。
できればアイーダではなく、私を愛して欲しかった・・・。

大和さんが流した涙に、僕はこのようなメッセージを受けとりました。
いやぁ〜、素晴らしかった。実に素晴らしい!

アムネリスこそは、僕の中の不条理な英雄だよ。

そういう意味でアイーダは、僕にとって愛に生きたヌビア国王女の物語というより、
愛するものを奪われた不条理なる世界に、
一人生きることを決意したエジプト国王女の物語ですね。

はい、アムネリス最高っす!


GW観劇 その4:美女と野獣(再び・・・)



ゴールデン・観劇・ウィークの鑑賞作品第4弾は再び『美女と野獣』です。
前回、4月29日は久しぶりに福井さんが演じるビーストを拝見し、
改めて『美女と野獣』の素晴らしさを教えて頂きました。

そんな中、僕が福井さんファンなのを知っている嫁さんが、わざわざ、
S席3列目のチケットを入手してくれることに・・・。
「あなた福井さん好きなんでしょ?いつまでビースト演じてくれるか
分からないから、観れる時に行っておいでよ!」と、
素晴らしい配慮をしてくれたお陰で福井ビーストを再び観ることが出来ました。
※今回、お一人様『美女と野獣』となった関係上、嫁さんは昨日、
お一人様『キャッツ』をみにいってるんですけど(笑)。


よく友人にからかわれます・・・
同じ演目を、そう何度も続けて観て飽きないのか?と。

そういった発言には、続けて観たいと思わない作品は2度目はすぐには観ないよ!
というのが僕の回答なんですけどね。
そういう意味で『美女と野獣』は繰り返し観るに耐える
物語の奥深さを持っている作品だと僕は思っている次第です。


奥の深い作品というのは、はっきり言って毎回観る度に、
印象や感想が変わっていきます。観る側の感情やコンディション、
そして座る席の場所によって、作品を鑑賞するときの感想というのは
大きく影響を受けるものなんですね。
そして、印象や感想は自分だけでなく、演じる側のキャストの皆さんの
組み合わせによっても色々と変わってきます。仮に同じキャストでも
観客の反応によって舞台上で演じる俳優さん達の
勢いも変わってくるような気がします。



さて、今日の『美女と野獣』ですが、個人的には前回以上に
新しい発見に溢れた舞台となりました。


まず、キャスト。主要なキャストは前回とほとんど
変更がなかったのではないかと思います。
ビーストは福井さん、ベルは鳥原さん、Mrs.ポッドは織笠さん、
ルミエールは百々さん、コッグスワースは青羽さん、
モリースは種井さん、ガストンは田島さん、ルフウは遊佐さん・・・。
前回と全然変わりありませんね(笑)。


ですが、個人的な印象として、今日の舞台は前回の舞台以上に感動的でした。
これは座席の影響が大きいのかもしれません。
前回は2FのC席でしたが、今回は前から3列目のS席ですからね・・・。


3列目で観れたお陰か、俳優さん達の細かな仕草、舞台照明の絶妙な加減、
舞台セットの入れ替えの絶妙なタイミングなど、
C席ではあまり分からないようなことがよ〜く見え、感じることが出来ました。


特に俳優さん達の細かな演技がオペラグラス無しで観れると、
舞台に対する感情移入も変わってくるようです・・・。
今回の舞台はいつも以上に引き込まれました!


特にベルを演じる鳥原ゆきみさん。これは席のせいか分かりませんが、
前回観た時以上に可愛らしくなっている!!!なんで!?僕の気のせい!?
と思うくらい可愛かった。


もちろん4月29日に観たときも非常に上手で可愛らしかったんですけど、
今日は極めつけの可愛らしさを発揮していた気がします。
なんなんだろうなー?この印象の変わりっぷりは・・・。

もしかすると、僕の中で鳥原さんのイメージが偏見なく「ベル」として
観れるようにインプットされたのが原因かもしれません。
なぜなら、前回はそれまで鳥原さんがコーラスラインで演じていた
小柳ルミ子ばりの”ボインとプリン”のイメージが
かすかに頭に残っていましたからね(笑)。
今回は、そのイメージが完全に払拭された状態で演技を観れたので、
よけいに可愛く感じられたのかもしれない・・・。


でもね、やっぱり今日の出来が凄まじく良かったんだと僕は思いたいです。
そして、凄まじく良かったのは、ベルを演じた鳥原さんだけではありません。
福井さんを始めとする他の俳優さん達も凄く良かった。
そして、凄く良かったがために色々と新しいことを教えられました。

前置きが長くなりましたが、今日は俳優さん達の素晴らしさを織り交ぜつつ、
そのことを書いておこうと思います。


まず、『美女と野獣』という物語の構成について。
美女であるベルと、魔法にかけられ野獣と化した王子が主役な訳ですが、
この2人の運命が物語論として絶妙に絡み合い、
その上でハッピーエンドになっているということ。

神話学者のジョゼフ・キャンベルは『千の顔をもつ英雄』において
神話のカタチを大きくは以下の3つだと書いています。

1.セパレーション(別離、別れ)
2.イニシエーション(儀式、旅立ち)
3.リターン(帰還)


野獣の足跡を追っていくと・・・、

◆セパレーション
魔法にかけられ日常を追われ、野獣として呪われし国の
住人となることを運命づけられる。

◆イニシエーション
ベルと出会い、夕食の儀式を境にベルを心から愛するようになる。
そして、愛故にベルを旅立たせる。

◆リターン
ベルの愛により、野獣の生を終え、王としてこの世界に復活を果たす。



一方のベルは・・・、

◆セパレーション
愛する父の身代わりとなるため、日常生活に終わりを告げ、
囚われの身となる。

◆イニシエーション
野獣に命を救われたことをキッカケに、野獣との関係が変化していく。
そして、夕食の儀式を境に野獣への愛が芽生えるが、
野獣により父の元へと旅立たせられる。

◆リターン
ガストンの魔の手が野獣に迫るのを伝えるべく、
野獣のもとへ帰還を果たす。


どうでしょう?
野獣とベル、それぞれにセパレーション、イニシエーション、リターンがあり、
二人の運命が交差するところに物語が、愛が、王の帰還が生まれていますよね。

これはほんと見事な構成だなと思ってしまいます。


そして、次に音楽。
これも効果的で本当上手いな〜と唸っちゃいます。

まずベルのテーマ。これは「我が家」ですよね。
この「我が家」がどこで歌われるかと言うと、セパレーションの部分です。
セパレーションで歌われる「我が家」は、セパレーションにふさわしく、
パパとの別離にうちひしがれながらも、いつか我が家に帰ることを夢見て
自分を何とか奮い立たそうという意志に溢れた歌詞ですよね。


それから、これと同じメロディーラインで、ベルのリターンにおいて
「夢叶う」が歌われます。ベルの大きな心情的マイルストーンでは
このテーマが流れる。それも「夢叶う」の時は、ベルのリターンと
ベルと野獣とのセパレーション(死別)という2重の意味になっている。



一方、野獣のセパレーションにおいては、まず「絶望」が歌われ、
その次に「愛せぬならば」が続きます。


それから、リターンで王として甦った野獣がベルと歌う「夢叶う」の後半、
”二人の願い、二人の命、二人の心に溢れるのは〜”という部分が
「愛せぬならば」と同じメロディーライン、テンポはもちろん違いますけど。


特に野獣の場合は、「愛せぬならば」のメロディーラインが、
イニシエーションとしてのベルを送り出した後のシーンでも
「愛せぬならば(リプライズ)」として効果的に使われます。
これも上手いね〜〜〜!!!
もともとセパレーションフェーズで使われていた「愛せぬならば」を、
イニシエーションフェーズでも使うことにより、イニシエーションフェーズにおける
野獣の2度目のセパレーション的気分を上手く表現していて素晴らしい!!


ちなみに、ベルと野獣の共通のイニシエーションテーマソングは、
それこそ「美女と野獣」ですよね。二人の関係が変化する、夕食の儀式で使われる
テーマソング・・・舞台の最後にハッピーエンドの
エンディングソングとしても使われる。これは上手い、上手すぎるよ!!


ということで、物語の構成とそれを引き立てるメロディーの使い方、
改めてこの2つは凄いなーと思わされました。

その他、3つ目として、物語の中の愛の描き方が素晴らしいと思いました。
僕が見つけたこの物語における愛のカタチは以下の4つです。

(1)ベルと野獣における男女の愛
(2)モリース(ベルの父)とベル、
Mrs.ポッドとチップ(ポッドの息子)における親子の愛
(3)ルミエールとコッグスワースにおける友との愛
(4)ガストンにおける自己愛

愛のカタチとして、基本的なものは網羅されていますよね。
足りないものとしては、兄弟愛くらいでしょうが
この作品に兄弟は出てきませんからね(笑)。


そして、最後に4つ目。
これはなんと言っても、舞台を成り立たせている役者さんの演技です。

上記に挙げた愛のカタチそれぞれで、俳優さん達が非常に素晴らしい
演技を見せてくださいました。

まずは、福井さんと鳥原さんのコンビ!!
座席の関係もあるかもしれませんが、福井さんの演技も前回観たときよりも
一つ一つの仕草、表情が凄く良かったと思いました。
個人的には福井さん演じる野獣の喜怒哀楽の表現がとても好きなんですね、僕。
荒々しい野獣の仕草もあれば、甘えん坊の王子、凛々しい王としての仕草・・・。

福井さん堪らんよ・・・。
今日は、ベルを見送る「さぁ、行って!」の台詞で大泣きした(爆)。

鳥原さんも、一つ一つの仕草がウルトラ可愛らしい!!
パパと一緒に歌う「二人で」の時の、変わり者と言われて
自分に自信をなくしている表情とか。「我が家」を歌うときの、
これからくるであろう運命を必死に引き受けようと自分を奮い立たせようとする
不安と決意の微妙なニュアンスとか。野獣と夕食を食べる際、階段の下で待つ
微妙な恋心のニュアンスとか・・・あれもこれも挙げれば切りがない!!
でも一番素敵だったのは、ハニカム野獣の顔にそっと手をやり、
自分に視線を向けさせるときの顔!!
あの顔は、きっと世界中の男という男を虜にせずにはいないはずだ!!
犯罪級の可愛らしさ・・・
この顔を見るためだけに、世の男性は劇団四季「夏」劇場に足を運ぶべきだ。


それから、ベルのパパを演じた種井さん。
この人の声量は凄まじいですね!!キャッツのオールドデュトロノミーのときも
素晴らしかったが、個人的にはモリース(パパ)役の方が好きだなー。
はまり役です!!正直、ベルと歌う「二人で」のシーンで
種井さんがモリースを演じると絶対泣いてしまう。
種井さんが醸し出す、父としての包容力とベルへの大きな愛・・・。
これがあの声量で歌われるのだから泣かずにいられるか!!


そして、僕の大好きなMrs.ポッドを演じる織笠さん。
僕は、織笠さんがMrs.ポッドを演じると「ミセスポッドの助言」の歌と、
舞台最後にチップが人間に戻ってママの胸に飛び込んでくる時のシーンで
涙ボロボロになってしまう。織笠さんの歌はどこに秘密があるんだろうね?

”このお城は〜、素敵なとこ〜、あなたに喜び与えます、”

までは我慢できるんだけど、その後の・・・

”、きっと〜。いつか〜、夢も〜、叶う〜”で絶対涙が出る(爆)。

一体自分にどんなコトが起きているのだろうか?
よく分からないので、僕は織笠マジックと呼ぶしかない。


もちろん、百々さんと青羽さんの掛け合いも最高っす!
僕は青羽さんが百々さんに言う「怖いんだよぉ〜」という台詞が凄く好き!

ガストン演じる田島さんも、いつもかっちょええーよ。
あの人無しにはベルと野獣が引き立たないよ〜。
僕が田島さん演じるガストンを観て、舞台版の『美女と野獣』が
ディズニー映画の原作を凌駕したと思ったくらい!!



ほんと俳優さん達、素晴らしい演技をありがとうございます。
美女と野獣、最高っす。




















2012年5月1日火曜日

GW観劇 その3:オペラ座の怪人



GW観劇の第三弾は『オペラ座の怪人』です。
4月29日(日)に観劇に行きましたが、この日は『オペラ座の怪人』
日本初演24周年でした。

『オペラ座の怪人』がアンドリュー・ロイド=ウェバーによって創られ、
ロンドンで初演されたのが1986年。その後この作品は爆発的にヒットし、
27カ国、145都市で上演され1億人以上の観客を動員した
メガヒット・ミュージカルとなりました。


凄いなと思うのが、日本ではロンドンでの初演からたった2年後の
1988年の4月29日に、ロングランという概念が当時の演劇界にはなかったにも
関わらず5ヶ月のロングランで上映し、見事成功を収めているということです。


過去、5回(?)くらい観ていますが、この作品はおそらく
もの凄く難易度が高い作品なんじゃないかな、と観ていて感じます。


ファントムはカリスマ性と超絶な歌の才能がないと成り立たないし、
クリスティーヌは少女から大人の女性へ舞台の中で成長しつつ、
あの凄まじく大変な歌を歌いこなさなければならない。
おまけに、ラウルがパンチ聞いてないとファントム、クリスティーヌ、ラウルの
三角関係がなりたたず、観る者に悲劇性を感じさせない。
僕は、これまで観た作品の中でも一際難易度の高い作品が、この
『オペラ座の怪人』なのではないかと思っています。


そんな作品を、ロンドン初演から2年後に、そして日本で24年も上演し続ける・・・。
ほんと偉業ですね。素晴らしい!の一言につきます。


余談ですが、今回は24周年記念ということで、
オペラ座の怪人のノベルティを頂くことが出来ました。


写真は、ノベルティが入った紙袋です。デザインが素敵ですね!
中身は赤いスカーフ?ストール?なにこれ?
よく分からないけど、生地から何から凄い豪華なノベルティですw。


それでは!


え?感想はどうだったかって?
前回の感想以上のものは今の僕には書けないので、
僕の『オペラ座の怪人』評に興味がある方はこちらをご覧ください。