2011年11月29日火曜日

経験からの学習 ~プロフェッショナルへの成長プロセス~/松尾睦

仕事がらみで読んでいる本の読書メモ
そのうち、ちゃんと整理したエントリーにしますが、取り急ぎUp。




◆研究テーマの背景
現在の日本企業では、経験からじっくり学ぶことが難しくなっていると思われたから。
※現状は、人材の促成栽培が求められ、短期的な成果をあげなきゃいけないプレッシャーのもと
のびのびと挑戦的な仕事をする機会が減っている。

◆経験から学ぶための3要素
1.よい経験にめぐり合うこと(経験)
2.よい経験から多くのことを学ぶ力をもっていること(学ぶ力)
3.よい経験を積む機会が多く、学ぶ力を養ってくれる組織に所属していること(組織)

本書は上記2の学ぶ力を経験学習プロセスを解明する鍵として、フォーカスを当てている。

◆本書のメッセージ
人は、健全な組織において、適正な信念を育むときに、経験から多くのことを学ぶことが出来る
※信念が育っていない状況では、ナレッジマネジメントなどありえない。

◆本書における研究の枠組み
問い:企業における熟達者は、いかに経験から学んでいるのか?

アプローチ
1.経験そのものの特性分析
2.学習する個人の特性分析
3.学習を促進する組織の特性分析

◆言葉の定義
「プロフェッショナル」・・・優れた知識や技能といった技術面だけでなく、
他社の援助や公共の利益への奉仕といった精神面においても高いレベルを持っている人。
もともとはプロフェッション(信仰告白)という意味を持つ。
古典的には聖職者、医師、弁護士が3大プロフェッションといわれている。
キリスト教の影響もあって、プロフェッションは利他的な性質を持つ。
プロフェッションは職業人としての立場を堅持するためにも自立自営が可能であることが条件とされた。
その特質としては以下の6つ。
①専門的なサービスを顧客に提供するために知識・スキルを獲得する
②同業者集団に準拠する
③職務を遂行する上で地震の判断に基づいて自立的な行動をとることができる
④同僚や顧客から専門家として認められる
⑤顧客の目標達成を助け、公共の利益に奉仕することを重視する
⑥職業に対する愛着を持って、たとえ外的報酬が無くてもその分野で働きたいという献身的な姿勢を持つ

「熟達者」・・・特定の領域で、専門的名トレーニングや実践的名経験を積み、
特別な知識や技能を持っている人。
特徴は以下の4つ。
①特定の領域においてのみ優れている
②経験や訓練に基づく構造化された知識を持つ
③問題を深く理解し、正確に素早く問題を解決する
④優れた自己モニタリングスキルを持つ
※構造化された知識=フレームワークと言えるかもしれない。

「学習」・・・既存の知識、スキル、信念が変容する過程のこと。


「知識」・・・多くの人によって共有された社会的な事実。

「信念」・・・個人としての理想や価値を含む主観的な概念。
※ある意味でその人を動かす基準となっている個人的な理論と言える。
人は信念に価値や機能性を感じるほど、それを保持する傾向がある。

「経験」・・・人間と外部環境との相互作用のこと。
経験を分類すると"直接経験"と"間接経験"、そして"外的経験(客観)"と"内的経験(解釈・理解)"の
4象限に分類できる。


◆学習を促す職務
異動・・・・・・・・・・・・・・・・・不慣れな任務
自身の力量の証明
タスク特性・・・変化の創出・・・・・・新しい方向性の構築
引き継がれた問題
リストラの決定
問題のある従業員
高いレベルの責任・・・難易度の高い職務
幅広いビジネスの管理
過重な職務
外部圧力の処理
権限を使わない管理
非権威的な関係・・・・逆境にあるビジネス状況
障害・・・・・・・・・・・・・・・・・トップマネジメントの支援不足
個人的支援の不足
扱いにくい上司

異動が学習の程度と正の相関が最も高い。
障害については学習と負の相関が見られたそうだ。


◆経験から学習する能力
以下の4点で構成される。
1.自分の能力に対する自信(楽観性、自尊心)
2.学習機会を追い求める姿勢(好奇心)
3.挑戦する姿勢(リスクテイキング)
4.柔軟性(批判にオープン、フィードバックの活用)


◆コルブの経験学習モデル
1.具体的な経験をする(経験)
2.1の内容を振り返って内省する(内省的な観察)
3.2から得られた教訓を抽象的な仮説や概念に落とし込む(抽象的な概念化)
4.3を新しい状況へ適用する(積極的な実験)


◆実践における学習の限界
・失敗による学習が構造的に難しい
・時間的制約がある
・その場に応じた適切な指導が受けられるとは限らない
・ある特定段階の学習レベルに満足してしまう
・現場での知識が固定化し、新たな環境への適応を阻害する


◆本書の結論
①人がある領域において優れた知識・スキルを獲得するには約10年かかり、
6~10年目の中期の経験が熟達の鍵を握る
②人は主に挑戦的な仕事から学ぶが、領域が異なると挑戦の仕方も異なる
③人は、目標達成志向と顧客志向の信念のバランスを保つとき、経験から多くのことを学習する
④人が学習目標を持つとき、目標達成志向と顧客志向の信念が連動する。
⑤顧客を重視し、メンバーが知識や行動をめぐって競争している組織において、
目的達成志向と顧客志向の信念が高まり、組織内の学習が促進される


◆組織学習の仮説的モデル
組織特性
⇒内部競争
⇒顧客志向

仕事の信念
⇒目標達成志向
⇒顧客志向

経験学習
⇒時期⇔タスク特性⇔領域


◆メモ
・成人の能力開発の70%以上は経験によって説明することができる。
⇒良質な経験を積ませることが、優れた人材を育成する鍵となる。

・ナレッジマネジメントの弊害は直ぐ探す癖がついてしまい、自分で考えることをしなくなりやすいところ。

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