2011年2月20日日曜日

コーヒー・ハウス/小林章夫

政治議論の場、経済活動の一つの中心、文学者のたまり場、
近代ジャーナリズムを育んだ基地・・・
それがイギリスのコーヒー・ハウスである。


久しぶりに本の感想でも書いておこうと思いました。
手元に会った一番近い本が2、3ヶ月前に読んだ
小林章夫著『コーヒー・ハウス』(講談社学術文庫)でしたので
今日はこれを取り上げたいと思います。


コーヒーハウス、もしくはカフェなんて聞くと
いまではスターバックスだとかドトールだとか、
ルノアールだとか、そういった喫茶店が
頭に浮かぶのではないでしょうか?

そこで行われる行為はどのようなものでしょう?

お友達との談笑、待ち合わせまでの時間潰し、
一人本を読んだり、場合によってはITノマドのように
パソコンを取り出して仕事をしていたり・・・。

時間の過ごし方は人それぞれ、多様なものがあるかと思います。

時間の過ごし方は多様でしょうが、
おそらくそこでは文化的、経済的に
社会に影響を与えるようなものというのは
生まれたりはしないのではないでしょうか?

当たり前のようにある喫茶店(コーヒーハウスやカフェ)ですが、
約400年前のヨーロッパではまだまだそのようなものはありません。

ヨーロッパにコーヒーが入ってきたのは、17世紀の半ばです。
アラビアからトルコ、そしてトルコのコンスタンティノープルを
経由して大航海時代にようやくヨーロッパに
コーヒーというものが入ってきます。

黒い得体の知れない飲み物ということで、
当初は料飲の是非論もあったようですが、
ローマ教皇がコーヒーを飲んで洗礼を授け、
飲用を許可したことをきっかけに、
一般市民にも多いに飲まれるようになったそうです。

もともとトルコにはコーヒーを飲む場として
コファ・ハウスというものがあったそうです。
コーヒーがヨーロッパに伝わるに伴い、
イギリスを始めとした各国にもこの形態が導入され、
あちこちでコーヒーハウスが作られるようになりました。

そしてこのコーヒーハウスという場所が、
特にイギリスでは、その後100年以上にわたって
イギリスの政治や経済、文化かなどに大きな影響を
与えていくことになります。


具体的な影響は本書に譲りますが、エッセンスだけを拾うと
以下のようなものがあげられます。

・様々なジャーナルやニュースが生まれる場となった
・政党が出来る母体となった
・文学者のたまり場となった
・中産階級が本を読んだりできる教育/啓蒙の場となった
・広告が作られる、配られる場となった
・保険ビジネスが行われる場となった

とまぁ、ほんとうに近代ビジネスに必要な仕組みなどが
このコーヒーハウスを中心に生み出され育てられていったこと、
当時のコーヒーハウスは文化のるつぼだったことがわかります。

僕にとって面白かったのは、
ピューリタン革命の嵐を避けて
ロンドンからやってきた集団が
コーヒーハウスに集う知的集団と融合し
王立協会などというものを結成したことでした。

えぇーー、こんなところにまで影響あたえてるの???
と驚く次第です。


いまでは憩いの場としてのコーヒーハウスやカフェ。
それが3、400年前のヨーロッパにおいて何故、それほど
重要な文化発信基地としての役割を担えたのか・・・。

それを知りたければ、この本をお読みください。


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