2009年8月26日水曜日

キャロルの学校学習モデル

誰かがあなたに教えようとすることを、必要な時間をかけて学ぶかどうかを選択するのは、あなたです


たまには自分の仕事に関係するエントリーを・・・。
ということで、本日は学校学習のあり方に大きな影響を与えたJ.B.Carrollという学者さんの
「学校学習モデル」というものをご紹介しようと思います。



◆生徒の成績の差はなんで生まれるの?

キャロルの学校学習モデルというものは、学校学習における生徒の成績の差は
なんでうまれるのだろうか、思うように成績のあがらない生徒を立ち直らせる方法を提供するには
なにをすればよいのかを模索した結果として生まれたものです。

キャロルの出した結論を先に言ってしまうとこういうことです。

できない生徒は、よい成績をおさめるために必要な時間を使わなかっただけである

これは実はもの凄い視点の転換だったわけです。
だって先の結論を言い換えると
大抵の生徒は、その子に必要な時間を掛けさえすれば、大抵の学習課題はクリア可能だ
といってるんですから。

できない生徒とできる生徒の差は何か?
もしこれが「個人の資質だ」となると、もう教育というものは打つ手がほとんどなくなるわけです。
なにをどうやったって、あいつには資質が無いからムダだ、
なんてなったら教える側には工夫の余地がないわけですもんね。

キャロルの学習モデルが提示される(1963年)までは、現場の教師もさぞ悩んだことでしょう。
ですが、このモデルが提示されたことにより、現場の教師たちは
できない生徒に対する工夫の余地があることに気づき、対策を立てることができるようになったわけです。




◆学習率の算出式

キャロルは、課題達成の度合いは、ある生徒がその課題を達成するために必要な時間に対して、
実際にどれだけ時間を使ったかの割合で表現できるとして、以下のようなモデル式をつくりました。


学習率 = 学習に掛けた時間 ÷ 学習に必要な時間


ある課題を解くのに必要な学習時間に対して、
どれだけ勉強したかによって学習率を求めるというシンプルな式です。
シンプルですが強力です。だって、課題達成まで、あとどんくらい勉強すればいいのかが
数値で把握できる土台ができたわけですから。
何をやっても無理、全ては資質やIQの問題だ、なんていわれるよりも
ずーっと学習者を励ますモデルだと思いませんか。




◆学習に必要な時間に影響を与える変数とは?

先に、学習率の算出式を紹介しましたが、疑問が浮かびませんでしたか?
そもそも学習に必要な時間ってどう決まるの?人によって同じなの?違うの?って。

キャロルは学習に必要な時間を左右する変数を3つ、それから
学習に費やされる時間を左右する変数2つを紹介しています。

【学習時間を左右する変数】
①課題への適性
②授業の質
③授業の理解力

【費やされる時間を左右する変数】
④学習する機会(学習にさける時間)
⑤学習を持続させる力

これらの詳細は割愛しますが、教師は生徒に対してこれら5つの変数を考慮して
授業を工夫し、接する時間や対応方法を考えることができるようになります。

一人一人の生徒の個人差を考えた、教授戦略が立てられるわけです。




◆最後に

キャロルの学校学習モデルは教える側の人間に非常に大きな示唆をもたらします。
私もこの理論を大学時代の教育工学の時間に習って、ほっとした記憶があります。
馬鹿な自分でも時間掛ければそれなりに理解できるんだ、
ということに理論的な保証を与えてくれたからです。
さらに、今現在、私は社会人学習(ITのインストラクター)というジャンルで仕事をしていますが、
そこでもこの理論は教える際に工夫を欠かしてはならないことを教えてくれます。

ですが、一番この理論で大事なのはこういうことなのではないかと最近思うようになりました。

誰もが皆、必要な時間を学習対象に掛けることができれば、それなりに習得はできる。
だがね君、人生で与えられた時間は有限なのだよ。
だから、なにを学習するかを選択することこそが、
あなたの人生で一番大事なことなのだよ・・・と


時間を掛ければ大抵のものはモノにできるわけですが、一回こっきりの人生、
ここいらで何に時間を掛けて習得すべきかを振り返ってはいかがでしょうか?







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