2009年7月13日月曜日

お客の意見を聞いて叱られる人

私の周りによくこういうタイプの人がいます。

「お客様の言ったとおりに設計を変更したのに、
後になってやっぱり気に入らないなんて言ってくるの。
もう、ほんとに嫌だ、あのお客さん・・・。」

お客様とこまめにレビューをしながら作業を進め、
お客様の意見を聞いて、設計を見直したにも関わらず
実装の段階で設計をひっくり返された・・・。
お客様のためを思ってやってるのに、なんでお客様自身が手戻りを発生させるの?
お客様の意見を取り入れて作業したのに、
なんでもっといい提案しないんだなんて私が叱られなきゃならないの?

こういうシーン、開発してるとよく見かけます。
開発に関係する人間、かっこよく言うとステークホルダーと呼ばれる人が
増えるにしたがってこういう機会は多くなるのではないでしょうか。

ま、こういう事象が発生する原因は色々あって一概に誰が悪いとは言えなかったりします。
お客様は結構思い付きで意見を言ってきたりすることもありますからね・・・。

しかし、プロたるもの、客様も我々も納得がいく落としどころ模索したいものです。
お客様の意見を聞いて作業を行い、結果として叱られることのないようにするには
どいういう基準でお客様と対話していけばいいのでしょう?

先日ご紹介した、棚橋さんの著書『棚橋さんの仕事術』・・・じゃなくて『デザイン思考の仕事術』に
こんな一説があります。私も無意識でやろうとしている(できていたりできていなかったり)ことですが、
綺麗に言葉としてまとめられていますので紹介しておきたいと思います。


◆デザインとは生活文化をつくる仕事

デザイン思考の仕事は人間中心の仕事です。
人間中心とは、デザインする人や企業の理屈で仕事を進めるのではなく、
その仕事の成果としての商品・サービスを利用する人びとのために仕事をするということです。
人びとの意見を聞いてデザインしろという話ではありません。
他人の意見を聞くのではなく、他人の立場、ニーズを察するのです。
デザインする側が観察を通じてユーザー自身も気づいていない
潜在的なニーズを探し出すのです。
                           『デザイン思考の仕事術』棚橋弘季
私がいいなーと思ったのは、
上記文章の中の「他人の意見を聞くのではなく、他人の立場、ニーズを察する」という箇所です。

お客様は開発のプロではありません。
ですのでお客様の意見をそのまま聞いて設計に反映するのは必ずしも良い結果を招くとは限りません。
しかし、お客様は我々が作る商品やサービスを実際に利用されるわけです。
だからこそ口を出すわけです。

であれば我々はどのようにお客様の意見に接すればいいのか?
そのヒントが上記の文言だと思うんですね。

要はお客様の意見に隠れた仕事空間、職場の文脈を想像し
本当にやるべきことはどのようなことなのかを察して、こちらから提案してあげる。
それも、これまでのやってきた内容と新しい提案が全体として調和するように。
これこそが生活文化の提案としてのデザインなのかなぁなんて思ったりします。

でも想像するに、我々が本当にこのレベルまでお客様の意見を汲み取って提案できれば、
かりにお客様の意見を全部反映しない場合でもお客様は納得されるのではないでしょうか。

くれぐれもお客様の意見を鵜呑みにして、
自ら全体の調和を乱すような設計をしないように注意したいものです。


このようなセンスって、いったいどうすれば磨いていけるのでしょうね?
棚橋さんはこう書いています。

それには一番身近な自分自身の生活を見直す努力が必要です。
自分の生活にこだわりがないのに、他人の生活にこだわるのはむずかしいはずです。
阿部さんも「生活文化をつくる」デザインをするためには、デザインする人自身が
文化に支えられた生活をすることが必要だといっています。
僕はデザイン思考とは生きるスタンスだと考えます。
人の暮らしに価値を感じるか、大事に思うか。
そしてそういう態度で日々を過ごせるかという意味で。
                            『デザイン思考の仕事術』棚橋弘季

皆さん、自分の生活は文化に支えられていますか?

私は凄いですよー。
朝は小鳥たちのさえずりと太陽の光で目を覚まし、バス停までは木々や花々の香りを楽しみ、
アフターファイブは歌舞伎や落語、能に親しみ、寝る前は数百年前に生きていた知の賢人たちと
書籍の中で戯れる・・・。

はい、すいません。全部ウソです。

デザイン思考、難しかりけり・・・。








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