2009年3月29日日曜日

映画『フロスト×ニクソン』を観ました

今年映画館で鑑賞した11本目の作品が、
この『フロスト×ニクソン』です。

本日公開でしたが、おなじみのレイトショーでの
鑑賞でしたので、お客はあまりいませんでした。
政治映画を観るには最高の状態なはずですが、
二つ隣に座った馬鹿サラリーマンが、1時間ちかく
静かな映画にも関わらず、ポップコーンを
グングン食べまくっていて集中力を殺がれたのが
玉に瑕でした・・・。



映画自体はかなりの傑作です。映画を愛する人であれば絶対観るべきです。
政治ドラマとしても人間ドラマとしても良く出来ていますし、勉強にもなります。

ストーリーは単純で、ウォーターゲート事件で失脚したニクソンに対して、
イギリスのトークショー番組のいち司会者であるデビッド・フロストが
ニクソンに対するインタビューを企画し、インタビュー契約を取り付け、実際にインタビューを行い、
ニクソンから貴重な政治発言を引き出すことで彼の政治生命を絶つ、というお話です。

書いてしまえばこれだけなのですが、大物政治家に対するインタビューの舞台裏や
政治家、または権力者という人たちがどういった人間なのかが徹底的に描き出されており
鑑賞するものを圧倒します。非常ーーーに面白い。

大物政治家に対するインタビューというのはある意味戦争なんだということが良く分かります。
本当の意味で権力を監視するジャーナリズムというのは、これほどまでにスリリングなものとは思いませんでした。
そのほか、感動した、勉強になったことが山ほどあります。

例えば・・・
・インタビューも初戦はビジネスだということ。
 「インタビューさせてくれ」、「させます」なんて話ではなく、要は大金が裏で動くということ。
・本物のインタビューは格闘技であり戦争だということ。
 本物のインタビューは膨大な調査と戦略なしには実現しえない。
・ニクソンは筋金入りの政治家であり本物のファイターであったということ。
・政治/権力の本質は悪だということ。悪だからこそ大きなことができる。
・人の行動をささえる本質とは、己のエゴ(私の言葉で言うと自分を取り巻くシステムに対しての復讐)であること。
・まともな大人は基本的にローファーのイタリア製革靴なんてはかないということ。

と、色々参考になることが多い作品でした。

最後に、この映画を観て私はニクソンに惚れました。彼は本物の政治家です。
作品の中でウォーターゲート事件について「あなたは悪いと思っているのか」と聞かれ
こんな台詞を吐くシーンがあります。

記憶が定かではないのですが、こんなことを言っていました。
「心の問題としては悪いと思っている。しかし合理的に考えると悪いとは思わない。
そもそも国家を守るという前提において政治家は国民レベルの法律に縛られる必要はないんだ」

要は、政治家の行動について、国益に適うような行動は法律に違反した行動でも許される、ということです。

我々国民は、この言葉の重さを十分にかみ締める必要があるのではないでしょうか。
本来、政治家が行うべきは清く正しい社会人としての行動であるわけがありません
国民の利益を守るためには色々な寝技を使う必要もでてくるでしょう。
私は、単純な正義感と大して考える力のない軽い頭で、頭ごなしに法律違反は絶対駄目という人には
なりたくないと思っています。
この作品を観た人には、是非ともこの点を考え抜いて欲しいと思います。
私も考え抜こうと思います。


ちなみに、田中角栄のロッキード裁判において田中角栄擁護の論陣を張ったのが
私が昔はまった政治学者の小室直樹さんです。
あの時、小室さんは「政治家は国益を守るためなら横領、人殺しをしたってかまわないんだ」みたいな事を
テレビで言ったり、本に書いたりしていた。
つまらん正義感を振りかざした弁護士には、たしか「送電線に逆さづりにしてやりたい」とも言っていたはずです。
その言動により、小室さんは学者生命を絶たれてしまったわけですが、私は小室さんの問題提起に
日本人はもっともっとこだわって議論すべきだったのではないかと思いました。

すくなくとも私はこだわり続け、考え続けたいと思います。





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