2009年3月3日火曜日

藤井清孝著『グローバル・マインド 超一流の思考原理』

皆さんこんばんわ

本を紹介するエントリーは久しぶりですね。
さて、本日は藤井清孝さんが上梓された
『グローバル・マインド 超一流の思考原理』を紹介しようと思います。

こんな書き方をすると、いかにも私が著者と面識でもあるかのように感じられるかもしれませんが、
面識は全然ありません。というより、この方、ビジネスの点では私にとって雲の上の存在です。

そのキャリアを簡単にまとめると・・・。
1957年、神戸生まれ
1981年、マッキンゼー入社
1986年、ハーバード大学経営大学院(MBA)卒業
同年、ファースト・ボストン投資銀行に勤務
1997年、ケイデンス・デザイン・システムズ日本法人社長就任
2000年、SAPジャパン代表取締役社長就任
2006年、ルイ・ヴィトン・ジャパンカンパニーCEO就任
2008年、ベタープレイス・ジャパン代表取締役社長兼アジアパシフィック代表

と、まぁいわゆるツワモノなわけです。
一体、同じ日本人であるにもかかわらず、世界の超一流企業でCEOを勤められる人間というのは
どのような考え方で人生を歩んできたのかが知りたくなって購入にいたった次第です。

さて、読んだ感想を一言でまとめるとすると「感服」のひとこと。
ウォールストリートのM&A会社、ERPパッケージの最強ベンダーSAP、
日本人がトチ狂う最強ブランドであるヴィトンでの経験を踏まえ
日本に対して、そして日本人に対して骨太な提案をいくつもされている。
さすが、世界を渡り歩く人間は器量が大きいなと、本当に感服しました。

キャリアについて述べている箇所では、
特にSAPジャパンの建て直しについての話が興味深かったです。

SAPはドイツの会社なのですが、世界においても日本においてもERPパッケージ分野のデファクトです。
そして、日本においてデファクトの地位を築いたのは
この人が土台をつくったからなんだなぁというのが分かりました。
非常ーーーーに戦略的です。

我々の作戦はまず業界トップ企業に売り込みをかけ、
その際にその業界独特のビジネス慣行で
不足しているソフトウェア機能の共同開発を提案する。
そしてトップ企業導入例と業界別ソリューションを武器に、
下位企業へ攻勢をかけ、上位10社全部のSAP化を目指すという具合だ。
一業種に参入企業の多い、日本の業界構造を逆手に取った戦略であった。
                                          (P125より)
そりゃー、横並びの好きな日本の企業ですもん。
「ライバルのA社が既に導入していて、効果をあげていますよ。お宅も同じSAPを導入しませんか?」
なんて言われればコロっといくだろうに・・・。ま、実際こんなバカな台詞は吐かないでしょうけど。


それ以外にも、色々と勉強になるところがあります。
たとえばこんなのがそうです。

私は、最初の六ヶ月は徹底的に半導体の技術を勉強した。
本社のエンジニアをつかまえて、
半導体設計プロセスの詳細の理解にも努めた。
マッキンゼーやハーバードで、土地勘のない産業でも
早く経営課題を抽出する訓練はかなり受けていたが、
深く技術に根ざした産業では、
かなりの技術的な基礎知識がないと、
自信を持って方向性を打ち出すことは不可能だ。
法学部出身の私にとってこれらは非常に困難な作業であったが、
六ヶ月くらい経つとようやくなんとなく
技術的な課題のポイントもわかるようになってきた。
                              (P96より)

これは海外企業のCEO全般に言えることらしいのですが、みな死ぬほど勉強して自社の業界動向や
技術動向を把握した上で、会社の方向性を決めているそうです。うちのボスが言っていました。
私がシリコンバレーで出遭ったCEOもそういうタイプでしたので、たぶん皆そうなのでしょう。
日本の社長さんたちはどうなのでしょう?太刀打ちできるのでしょうか・・・私が知る限りでは心もとないです。
S○○Yの経営陣なんて、以前、新ウォークマンのプレスリリースをした際に、堂々と自社製品を上下さかさまにして
記者の人たちにアピールしてましたからね・・・。


それから、わが意を得たり!!と共感したのがこういうところ

「会社は誰のものか」を議論しているのは日本人だけ
コーポレート・ガバナンスを論じるとき、
日本人は「いったい会社は誰のものか」という話をしたがるが、
こんな議論を延々としているのは世界でも日本人だけだ。
この議論が無意味なのは、その答えによって
現実的には何も変わらないし、
本当の答えは個々の会社によって微妙に違うからだ。
あえて言うと、答えは「株主のもの」である。
しかしそれは、「国の主権は誰にあるか」との質問に対しては、
「国民にある」としか答えようがないのとおなじである。
                               (P181より)
ですよね、ほんと。
これは社会人として普通に企業に勤めてみれば肌で感じることだ。議論するだけ意味がない。
よく評論家や大学の先生がこのテーマで本を1冊書いていたりするけど、まったく意味ないよ。
何か気に入らなければ、自分で会社作って理想を追求しなさい。ただそれだけ。
お客様からみても、そんなのどうでもいいはず。自分を満足させてくれるものを提供してくれというに違いない。
社員のものでなんかあるわけないし、経営者は企業を正しくカジ取りする人たちってだけでしょ。
だったらおのずと論理的な答えは「株主」ですよね。自営業とかになると話は別でしょうが・・・。


最後に、この本の中でなるほど!!と思った箇所について。

日本の強みは現場がしっかりしていること、
そしてそれに対して社会が大きな価値を置いていることであることを踏まえた上で以下のように述べている。

◆「現場尊重」と「現場至上主義」の違い

私の感じる「現場至上主義」の弊害は、
それがレバレッジの聞かない考えであることと、
大きな構図を変える際に現在に縛られた考え方に陥りやすい点である。
(P199より)

◆レバレッジの効かない「現場至上主義」

これは日本企業で現場を知る人が、現場を知らない人たちへ
説明責任があるという発想が乏しいことにも起因する。
(中略)
アメリカの構図では、現場で起こっていることを端的に抽象化し、
戦略決定ができるような情報にしたうえで、
それを役員に対してコミュニケーションを行うスキルが
大変重要になってくる。
                                        (P200より)

◆未来を語れない「現場至上主義」

資本が瞬時に国境を超える現代では、
資本は未来の成長を求めてグローバルに移動する。
そのときに投資家が一番見るのは、「将来のビジョン」と「業績予想」である。
昨年度の実績は参考程度にしかならない。
投資家は現場を見る立場にはいない。
彼らは「未来」を見ており、その際には経営者の
「未来を語る言葉」が大きな判断基準になるのである。
                                        (P203より)

当たり前ですが、現場が強くなくてはビジネスではお客様に信頼されません。
ですが現場でお客様から言われたことだけを一生懸命やっていたところで
自分たちのビジネスは飛翔しません。飛翔には現場に根ざした創造力が必要です。
著者が言いたいことはそういうことだと思います。


ここまで紹介した内容の他、色々と勉強になるところが多い本です。
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