2009年2月15日日曜日

戦略 -ストラテジー -

あるところに、若者と老人がいました。
老人は町の人々から、大戦略家と褒め称えられていました。
老人が若いときに行った数々の戦略的な事業が、この町に長い繁栄をもたらしたからです。

若者「先生、是非わたしに戦略について教えてください」

老人「ほぉ、おぬしはワシを先生と呼び、戦略を教えてくれと言うか」

若者「はい。私も将来は先生のようになりたいのです。ですから私に戦略について教えてください」

老人「教えることを厭うわけではないが、ワシは戦略なんて知らんよ」

若者「ですが先生。先生は大戦略家と町の人から呼ばれているではありませんか」

老人「あれは町の人が勝手にワシのことをそう呼んでいるに過ぎん。ワシはただのジジイじゃよ」

若者「・・・そうですか」

老人「まぁ、そんなに気を落とすでない。ワシは戦略については教えることは出来んが、
    なぜワシがこのような行動を取ってきたかは話してやれるじゃろう」

若者「是非、お願いします」

老人「まず、聞くがの。おぬしは他の人々と同じであることを望むかね」

若者「仲間はずれになりたいとは思いませんが、みなから一目置かれたり、必要とされたいです」

老人「ほほぅ。じゃぁ、もう一つ聞くが、そなたは何によって知られたいかね」

若者「漠然としていて分かりませんが、戦略によってしられたいです」

老人「おぬしは少々誤解しておるようじゃのぅ。戦略は結果なのだよ」

老人「ワシが幼いころ、この町はまだ貧しくてのぉ。食べるものも十分になく、
   病気になってもかかる医者がいなかったのじゃ。
   やさしかった母と聡明な兄を病気で失ったとき、わしは誓った。
   この町からなんとしてでも貧困をなくしてやると。
   ワシはひたすら考えた。今の自分に出来ることを。ワシの目的はこの町を裕福にすることじゃったからの。
   今の自分に出来ることが、町の裕福さとつながるよう工夫をしながらせっせと勉強と仕事に励んだんじゃ。
   失敗もしたが、一つ一つの仕事が実を結び、小さいながらも町を裕福にする仕組みがいくつか生まれ始めた。
   今の町はその積み上げじゃのぉ。いわばワシの復讐の結晶じゃよ」

若者「・・・」

老人「よいか、若者よ。もともと生存と生活の繁栄が所与とされるのであれば、こんな行動はいらなんだ。」

若者「・・・」

老人「今はこんなに平和になったのだから、おぬしはこんな動機でうごいてはいかんのぉ。
    ただのぉ。ひとはいつの時代も、認知に対する飽くなき欲求を持つものじゃ。
    どうせ認めてもらえるなら、人の役に立った人物として認めてもらいたいじゃろ。
    そのために今の自分に何が出来るか、なにをやるべきか、
    誰に対してどのような貢献の連鎖を創ればよいか、とことん考えることじゃな。
    人はのぉ、自らが自らに求めるものが少ないと、成長しないもんじゃよ。
    先に言ったことを忘れず、目的の達成に向けて、意識的に今の自分の成果、来年の自分の成果を
    積み上げていくようにすれば、おぬしが老人になるころには何がしかの巨人にまで成長しているであろう。
    よいか、間違えるのではないぞ。
    戦略というものがあるとすれば、それはおぬしが真に達成したい目的や、真に実現したい欲望からおのずと
    行動として要請されるものなのじゃ。目的や欲望を確実に達成するための合理的な行動、
    よく分からんが、それが戦略的と呼ばれるものかも知れんのぉ。ホッホッホッホッホ」



2 件のコメント:

con さんのコメント...

毎回興味深くiphoneから読ませていただいてますw
今大学生で孤独に資格勉強に励んでいるものです。
周りの子達が華やかに過ごしているのを見ると時々自分の選んだ道を後悔することも。特に今は春休みなので辛いです笑。
少し前に紹介されていた論理学の教科書がとても良かったので、他に良い教科書をば紹介していただけたらとコメントしました。コミュニケーション(雄弁術?)や哲学などにおいて多大な影響を受けた!!!というような本はありますか??
パワーをもらえる貴重なブログなので、ちょくちょくまたお邪魔します。

Hidehiro Takeda さんのコメント...

con様

当ブログを拝見して頂いた上、
コメントまで頂き、ありがとうございます。

心に沁みました。

con様のご要望、承りました。
著書の紹介等は、今後、このブログにて行ってまいります。少々お待ちください。