2008年10月2日木曜日

映画『イントゥ・ザ・ワイルド』を観た



本日、映画『イントゥ・ザ・ワイルド』を
観てきました。

評価:★★★★★

私にとっては素晴らしい映画でした。






主演のエミール・ハーシュさんは今年の
アカデミー賞主演男優賞候補になってもおかしくないと思いました。
この人の主演する作品は初めて観ましたが、若かりし頃のレオナルド・ディカプリオと
リバー・フェニックスに似ている演技派のイケメン俳優です。

よくよくオフィシャルHPを見ると、作品自体がアカデミー賞ノミネートで、そのほか
助演男優賞候補としてハル・ホルブルックというひとがノミネートされていました。
※この人の演技も素晴らしかった・・・ノミネートに納得です。


私はこの作品を実際に観るまでは、予告から
「馬鹿なエリート大学生が、左翼思想よろしく現実逃避で自然と戯れ、最後は死んじゃう」
御馬鹿シリアスストーリーだと想像していました。

でも違いました・・・御馬鹿は私のほうでした(爆)。

話はそんな単純なものではなく、自分の人生を引き受けるために、
自分がいる場所を自分の場所として再認識するために、
敢えて過酷な自然と向き合う決意をした主人公の壮絶な生き様を描いた話です。

主人公は家庭に複雑な事情を抱えて、小さいときからずっと苦悩しています。
納得がいかないと思いつつ親に対する義務感から大学を優秀な成績で卒業しますが、
卒業(諸々の義務からの解放)と同時に、義務感からではなく己の自由意志で
自分を引き受けるために一大決心をして、荒々しい自然の中に立ち向かっていくわけです。
自然と向き合う中で出会う人間たちや、自然そのものとのやり取りを通して主人公は
自分を自分として引き受けていく。そして最後に、自分に課した目標である「アラスカ越え」の
途中で”自然の罠”によってその生を終えてしまいます。
しかし、その最後は決して後悔に溢れたものではなく、様々なことがらへの感謝に溢れている。
道半ばにして倒れてしまうが、それでも自分は自分の人生を生ききった、という充実感に包まれ
短い人生を終える姿に私は非常に心打たれました。

文句なしの傑作です。


ところで、この映画を観ていて色々感じるところがあったのですが、
それは何かと言うと・・・
「もしかして、厳しくはあれどWildという名の自然の方が、
ある意味で人間には優しいのではないか?」

「いまの社会、ひいては人間が作った文明というのはそこで生きる人たちに
自然以上の厳しい人工的な荒地の役割をはたしてしまってはいないだろうか」?

ということです。


一般的に人類は自然の中で生き延びるために文明を作り上げて
人間が生きやすい人工的な場所をこの世界に作ったはずです。
ですが、この人工的に作られて場所は時がたつにつれて、ある意味では人間にとって生き辛い、
その中で生き延びなければならない自然以上に過酷な環境と化してしまったのではないでしょうか?

だからこそ主人公のクリスは、自分を自分として引き受けられる安全な場所としての
過酷な大自然を選んだと思えて仕方がありませんでした。


映画の最後に、この話の元になった実在の方の写真が出てきます。
亡くなったバスの前で撮られたその写真には、
「自分は自分を取り戻した。自分はこれで自分の置かれている環境を・
人間関係を引き受けることができる。俺は勝利したのだ!!」とでもいうような
力に満ち溢れた顔が映っていました。

その顔が今でも私の頭から離れません・・・。

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